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2012年8月 4日 (土)

ロンドンオリンピックを観戦して

昨日で、ロンドンオリンピック柔道競技終了。

結果は、男子60kg級平岡選手銀メダル、66kg級海老沼選手銅メダル、73kg級中矢選手銀メダル、90kg級西山選手銅メダル。女子、57kg級松本選手金メダル、63kg級上野選手銅メダル、78kg超級杉本選手銀メダル。

金メダル1個、銀メダル3個、銅メダル3個の計7つのメダルを獲得されました。

選手の皆様ならびに関係者の皆様本当にお疲れ様でした。

今回のオリンピックをテレビ観戦して、自分なりに感じたことを今回綴って見たいと思います。

柔道競技を終えて、世間では日本人選手に対して大変厳しい評価が下されているように思います。

男子は、オリンピック競技になってはじめての金メダル0に終わり、女子も期待された選手達がまさかのメダルなしに終わってしまいました。

この結果には自分自身も大変悔しく思いますが、それだけ柔道というものが世界に広がりレベルも格段に上がってきている事の証明でもあると思います。

その中でのメダル7個は、素晴らしい結果でもあると思いますが、選手達のコメントにもあるように悔しい結果だったと思います。この悔しさを次回に繋げてもらいたいです。

自分なりに今回の日本人選手が苦戦したオリンピックを分析してみると、優勝を期待されていた選手達は、見事に研究されており、自分本来の形を作れなかったり力を発揮する前にポイントを取られてしまったりしていました。研究されているという事に関しては、日本人選手の不振が注目されがちですが、ほかの国を見ていても、本命選手が途中で敗れるという番狂わせがたくさん起っていたようにも思います.

男子では、60kgソビロフ選手(ウズベキスタン)、ザンタラヤ選手(ウクライナ)、66kgツァガンバータル選手(モンゴル)、73kg王己春選手(韓国)、90kgイリアディス選手(ギリシャ)女子では、57kgモンテイロ選手(ポルトガル)、63kg級エマヌ選手(フランス)、78kg超級トウ文選手などなど金メダル有力候補選手たちが敗れ、非常に驚かされました。

このことからもオリンピックで勝つという事は非常に難しい事なんだと思います。特に近年、世界ランキング導入により、試合数が増えランキング上位に入れば入るほど、その動画により研究され(特に組み手)自分の思うような柔道が封印されていたように思います。そんな中で優勝した、松本選手を始め、男子100kg超級のりネール選手、女子70kg級のデコス選手(ともにフランス)なんかは本当にすごい選手だったんだと思います。

相手の力を発揮させないための研究とオリンピックに標準を合わせてきている調整や各国の戦略(たとえば52kg級アン選手(北朝鮮)ランキング外だが、大陸枠で出場)により、ランキング下位の若手選手や、ベテラン選手の活躍が目立ったように思います。

次に、外国人選手の技術の向上。今までも、そのレベルは上がってきていると感じていましたが、今回はまたレベルが高くなってきているなと感じました。特に寝技の技術は目を見張るものがあります。

まず一番初めに注目したのが立ち技からの寝技への移行のうまさ。上川選手がやられた変則の一本背負い(袖釣り?)からの押さえ込みや、中井選手の倒されたあとの十字固、中矢選手が掛けた背負いを十字固で返すなどの立ち技から一連の流れで寝技につなぐうまさを感じました。また、穴井選手を押さえ込んだしつこい寝技や81kg級銀メダルのビショフ選手(ドイツ)の引き込みからのオモプラッタや同階級のトマ選手がみせた裾取り(腹包み)の足をからませての返し方など、寝技でのレベルの高さを感じました。

そして今回の大会も、クロスグリップに苦しめられていたように思います。特にケンカ四つの相手でこの形から隅返しによる攻撃を攻略しきれなかったように見えました。それほど外国人選手のパワーとリーチの差が厄介だったと推測されます。

そして最後に、メンタル面の問題もあると思います。日本は金を取ってあたりまえ。金以外はメダルじゃない。そういうふうに自分に言い聞かせすぎて、自分が背負わなくてもいいものまで背負い試合に挑んでしまったがために、慎重な試合運びとなって思い切りの良い柔道が出来なくなっていたように思います。相手に研究されているという想いがあるとなかなか思い切って行き辛いとおもいますが、見ていて本当の実力を発揮できていなかったのではないかと感じてしまいます。今回のオリンピックでは松本選手が闘志むき出しの実力どおりの柔道を出来ていたのではないでしょうか?また、男子で敗れたメダリスト達も敗れはしましたがメンタル面では非常に充実しているように思いました。

後半の階級は、金メダル0が影響していたのか、精彩を欠いていた様にも思います。もっとチャレンジャーとして試合に臨む事ができたら・・・・・これはわれわれがいらぬ期待を掛けすぎているからかもしれませんね。

とまあ勝手に自分なんかがあれこれ綴って見ましたが、今回のオリンピックを次回に繋げるためにはどうして行くべきなんでしょうか?

あるTVで、「日本は、少年規定があり、一般の規定と異なるところから柔道をはじめているからダメなんではないか?」という事が言われていましたが、自分はその事は問題ではないと思います。なぜなら、カデやジュニアの試合では相変わらず日本人選手たちの活躍は目を見張るものがあり、もし上記のことが問題であれば、この時点で大きな差がついているはずです。

それより、別の番組でコメンテーターの古賀先生が言っていた、「日本人は、指導者があれしろこれしろと言いすぎるのがよくない。世界で戦うためには、自分で考え自分の試合をプロデュースする事ができなければ勝つ事ができない。私はソウルオリンピックで負けてこのことに気づきました」という発言を聞いたときに、はっとさせられました。

このことは確かにあるなと感じていた部分であり、最近の指導でも取り入れている部分でもありました。しかしこの部分を指導する難しさを感じ、また口うるさくなっていたように思います。この部分をもっと意識して指導に当たりたいです。

また、ある先生が言っておられた事なのですが、日本柔道は底辺が拡大していかなければ今以上の成績を収める事は難しいという事を言っておられました。

たしかに、今回の上位入賞者や金メダルを取得した選手がいる国では、柔道人口も非常に多く、以前の日記にも書きましたが、フランスなんかは、日本より人口が少ないにもかかわらず柔道競技者登録数が日本の3倍もいます。今回のオリンピックで活躍している水泳やサッカーは、日本でも大変盛んであり、底辺がものすごく多いためこのような活躍に繋がっているのかもしれません。

世界第3位の競技人口を誇る柔道。今や日本で生まれた柔道は、世界199ヶ国で愛され世界の柔道となっています。このように普及しているのでは、日本が金メダルを取れなくてもなんら不思議ではありません。今回の結果は非常に悔しい反面、柔道が普及しているという面では、大変喜ばしいことなのです。

今回のオリンピックを観戦し、感じた事を踏まえこれからの指導に当たっていきたいと思います。ただ注意したい事は、オリンピックの金メダルのために・・・・という指導ではなく、あくまでその子達の、健全な成長のためを第一目標とした指導。自分で柔道にたのしみを見つけ、自分で色々と工夫していく発想を大事にしていく指導を心がけて行きたいです。

なんか、だらだらとまとまりの無い長文になってしまいましたが、試合に勝たなければやる価値の無い柔道というものにならないよう注意してこれからがんばって行きたいです。

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コメント

赤ペン先生、おはようございますdelicioussun


自分も、一喜一憂して観戦していました。


男子は、平岡、海老沼が金メダルを獲得出来なかったのは痛かったと思います。

穴井、上川は金は無理かなぁ… という気はしていましたが、メダルに届かず残念でした


女子も、福見、中村、上野、杉本が金メダルを獲得出来なかったのはびっくりでしたsweat01


勝負は難しいですね。


全体的に、変則柔道に苦しんでいたようなので、チャレンジャー精神で、外国に出稽古に行って、変則柔道になれるということも必要なのではsign02 と思いました。


リオでの復活に期待したいです。


投稿: ロードマスターズ | 2012年8月 6日 (月) 07時38分

ロードマスターズさんコメントありがとうございます。
男子は前半で金メダルが出てくれるとよかったのですが残念です。
でも、素晴らしい試合でした。
女子は、オリンピックで勝つことの難しさを痛感させられましたね。
でもこれで、お家芸というプレッシャーから少し開放されチャレンジャーとして試合に望めるのではないでしょうか?
リオでの復活に期待しましょう!

投稿: 赤ペン先生 | 2012年8月 6日 (月) 17時54分

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