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2010年4月22日 (木)

積み重ねた強さ

少年柔道を指導してきて、少年柔道で結果を出せる子というのは、体格の良い子であったり、才能のある子、運動能力の高い子である場合が圧倒的に多いと思う。

どんなに小さいころから努力を続けていた子であっても、はじめたばかりの才能豊かな子や体の成長が早い子に簡単に負けてしまう現実をたくさん見てきた。

俗に言うセンスのある子というのは感覚的に投げるポイントを元から持っているように感じる。教えていないのにすばらしいタイミングで技に入ったり、同じ練習をしていてもすぐにできるようになったりと自分の体を自由に扱えるような子が試合でも結果を出している。

それでは、体の小さな子や不器用な子は努力をしても無駄なのか?

自分は決してそうではないと思う。

最近特にそのことを感じる子が川口道場にいるのである。

その子は、とてもまじめな子で練習でも黙々と練習を行っている。先生が見てようが見ていまいが、どの練習も手を抜くことなく最初から最後までしっかりと行うことが出来る子であった。

では、試合ではどうであるかというと・・・・・・残念ながら良い結果が出ていないのが現状であった。

とても良い試合をしても、試合の終盤で有効をとられて負けたり、攻めても最後に返されて敗れたりしている子であった。

一生懸命努力しているのはわかるのだが、どうも投げる感覚と言うのが分かっていない。いいタイミングで入ったとしても投げる手前で止まってしまったりしていた。

そんな子と最近久しぶりに組み合って練習をしてみて驚いた。たしかに技に入るタイミングも悪く崩しもあまり上手ではないのだがその技にものすごくちから強さを感じた。もともと力強いかと言うと決してそうではなかった。しかし、以前組んで受けていた技に比べると雲泥の差がそこにあった。その技を受けて、『積み重ねた強さ』を感じた。

確かに試合では、天才の一瞬のひらめきと言うようなもので勝負がいとも簡単につくと言うことが非常に多いと思う。その子の持っている感覚的なところでその子が生まれつき持っていると言ってもいい感覚であると思う。

それではそういう感覚を持っていない子はそういう感覚を持っている子に敵わないのか?

というと、必ずしもそうではないと思う。感覚的ではないが、日々の練習を繰り返すことによって生み出された『積み重ねた強さ』というものにも非常に魅力を感じる。

感覚的なひらめきで放たれる技とは違い、一朝一夕で手に入るものではないが、コツコツと日々の練習で積み重ねられた技というのも積み重ねてきたものにしか放たれない武器である。

その子と組み合ってみてその積み重ねによって作られた技を感じることができた。

柔道では、努力を続けていても、はじめたばかりの才能豊かな子に簡単に負けてしまうと言う理不尽な現実がある。だが逆に才能が無いと感じていた子でも積み重ねた強さを持って才能のある子を投げることだってある。

その子には日々の練習で少しずつ積み重ねていった技に自信を持ってこれからもがんばってもらいたいものである。

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コメント

まさしくその通りだと思います。
そして、付け加えるとしたら練習と試合では全くとは言わないが違うものだと言う事を伝えていかなければいけないんじゃないでしょうか?
心技体、とは上手く言ったものでそのバランスが大切なんだと感じています。
心技体を円グラフにして当てはめたりもします。
そうすると、自分が補わないといけない部分も明確に分かると思うので・・・・・・
我々指導者は、子供の心技体の状況を把握して指導していかないと勝利主義になっていってしまうのではないでしょうか?
自分は、昔人前で話すのが苦手でしたが、それを何らかの形で克服した時に柔道においても自信がついてきた。
と言う経験もあります。
子供ってそんなもんじゃないでしょうか。
だから、学ぶのだと思います。
続ける事の素晴らしさを伝える義務を感じてしまうのは自分だけでしょうか?
自分は、小学生時代、今もそうですが勉強にしろ色んなことにコンプレックスを感じながら育ってきたので、出来ない子の気持ちも分かるような気がします。
長くなりましたのでこの辺で・・・・・・
勉強になりました。

投稿: カニーマン | 2010年4月22日 (木) 11時10分

カニーマン先生コメントありがとうございます。
確かに、試合と練習は別物ですね。その子も練習では素晴らしい動きですが試合になるとそのパフォーマンスが充分に行われていないことを感じます。
心技体のバランス・・・・・
まさにそのとおりですね。
子供達の心技体のバランスに気を配りながらこれからの指導に励みたいです。
続けることの素晴らしさ、学ぶ事の大事さを色々な形で伝えていけるよう頑張りたいです。
大変ためになるコメントありがとうございます。

投稿: 赤ペン先生 | 2010年4月22日 (木) 12時21分

私も指導者であり息子娘の父親として柔道と向き合っていますが、先生の言っておられ事はいつも感じています。先生と親交があるI先生や柔道で有名な某大学生の方々と良く取り上げて柔道談義になるのですが、センスがあり天才肌の選手でも最後に勝てる選手は練習した者だと慰めて貰っています。強いて天才と言うなれば、柔道が好きで練習できる選手かなとも言っていました
努力が一つでも報われるように願っているしだいです。2月に第6回しょうじゅう杯参加して来ました。素晴らしい大会でした。

投稿: 柔道愛好者 | 2010年4月22日 (木) 12時49分

柔道愛好家さんコメントありがとうございます。
>強いて天才と言うなれば、柔道が好きで練習できる選手かなとも言っていました
自分もそのように感じることが多いです。どんなに素晴らしい感覚を持っていても、その感覚だけでは勝ち続けることは難しいと思います。どんなに才能があっても積み重ねる練習をしておかなければ競った勝負に勝ち残れないと感じます。
少年柔道では、なかなかこの積み重ねの結果は出にくいと思いますが、努力し続ける才能を伸ばしてあげたいです。
あと、しょうじゅう杯に出られたとのこと。自分達は参加できませんでしたが色々な工夫をされている先生方に頭が下がる思いです。
先生方の熱意に負けないよう頑張りたいです。

投稿: 赤ペン先生 | 2010年4月22日 (木) 14時41分

よく福井県や石川県での試合や練習に参加させていただいている少年団の父兄です。    我が子の事を書いてるのか?と思うほど同感しました。   息子も一年生から習い始め… 今年が最後の年となりました。45超のわりに身体が小さくて不器用で天才から程遠く………ただ週に五回の練習と夜間OBの方の練習三回に欠かさず通う馬鹿なのか?好きなのか?そんな息子を見ていると先生の書いていらした努力の積み重ねを感じます。          先はわかりませんが末永く柔道を続けてもらいたいもんです。あらら長文になりすいません。それではご指導頑張ってください応援しています。

投稿: 富山県の端っこ | 2010年4月27日 (火) 17時09分

富山県の端っこさんコメントありがとうございます。
福井県や石川県で試合や練習をされているとのこと、もしかするとお会いしているかもしれませんね。

息子さんの練習を積み重ねているという様子を読ませてもらい、本当に素晴らしいと思います。

不器用なのに練習を休むことなく続ける事が出来るということは、柔道が好きでなければ出来ない事だと思います。
不器用な子は、一つの動作が出来るようになるのに非常に時間がかかります。
当然、すぐに出来なければ面白くもないし、くやしいだろうと思います。それでもあきらめず努力を続けること・・・・
自分はそれも立派な才能であると思っています。

積み重ねる強さとはすぐに結果も出ないし、派手でもありません。しかし身につけるととっても安定した単純な強さがあると思います。
このすぐに結果が出ないことをコツコツ積み重ねることの出来る才能は、柔道でなくても社会に出てからもとても役に立つ能力であり、そのような事ができる人間にとても魅力を感じることが出来ます。

息子さんは、柔道を通じて小学6年生ですでにその能力を身につけつつあります。これからも柔道を愛してそしてその気持ちを持ち続けていってもらいたいですね。
柔道を続けていれば、痛いし、辛いし、苦しいし、くやしい思いをいっぱいすると思います。それでも『好き』と思えるのが柔道の不思議なところ。
これからも柔道LOVEheartで頑張ってください。

投稿: 赤ペン先生 | 2010年4月28日 (水) 11時15分

ゆっくりした成長の息子に焦って結果を求めすぎていた自分が情けなく…         これからも柔道を好きで続けてくれる事こそ本当に望まなくてはならない事なんですよね!!息子の歩幅にあわせてサポート頑張ります。         赤ペン先生のお言葉は伸び悩んでる親が一番求めてる言葉なんですよね〜本当にありがとうございました感謝しています。

投稿: 富山県の端っこ | 2010年4月30日 (金) 12時21分

富山県の端っこさんコメントありがとうございます。
子供達の成長ってその子その子によって違いますね。成長の速い子もいれば、なかなかできるようにならない子もいる。でも柔道を好きって言う気持ちには速いも遅いも無いと思います。好きだからがんばる、その姿勢を持ち続ければ、一番成長している時期に面白いように力をつけていくような気がします。
この好きって気持ちを持続させていくのには同じ歩幅で歩いてくれる伴走者がいるとかなり力強いと思います。
これからもがんばっていってくださいね。応援しております。

投稿: 赤ペン先生 | 2010年5月 6日 (木) 00時12分

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