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2009年2月20日 (金)

泣き虫Hの志ノート~涙の成長日記~ 2

前回の続き

気持も充実してきており、意識も高くなりつつあるH。

年も明け新年度に突入した時に、Hはとても大きな壁にぶつかった。

それは体質的な問題である。

Hは、体質的にアレルギー体質であるため、ある季節になるといろいろと弊害が出てきてしまう。
あと疲れが重なることや、心因的原因でも同様の症状が出てしまうのであった。

新年度を迎えてすぐのこと、Hはこの症状に悩まされていた。アレルギー性の鼻炎症状が出てくるため、追い込んだ練習をすると非常に苦しい、そして薬を飲むことによる倦怠感から練習に向かう足が徐々に遠のいてしまっていた。

アレルギー症状も体のあちこちに現れ、とても練習を続けることができず、練習に参加し続けることができなくなっていた。

しかし、練習は試合が近いということもあり毎日練習する強化週間。周りは追い込んで練習している中、体調のせいでおいていかれている感じがHを襲った。
そのせいもあり、1時期【弱い自分に負けてしまう時期】が続いてしまった。

確かに体調のほうも悪かったと思うが、日にちがたつにつれ体調が回復してきているはずなのに心のほうが回復しきれず、練習にも今一つ身が入らない感じが続いていた。

これには『何とかしなければ…』という気持ちが自分の中で大きくなっていったが、日々の練習の中ではなかなか効果的な励ましができずにいた。

しかし、そんなHを励ますことのできる出来事があった。

それはHが5年生になりたての春のこと。石川県へ遠征に出かけたときのことだった。

この日は朝から夕方まで1日練習試合を行うといった合同練習会に参加させていただいた。Hも体調が悪いと言いながらもこの日は参加していた。
練習試合が始り、2.3試合したところでHが目にいっぱいの涙をためて、

『辛いので休ませてほしい』

と訴えてきた。せっかくの合同練習会、いろんな相手と自分の力を試すため試合を行うことができる。しかし、初めてやる相手、そして慣れない環境、最近のモチベーションいろんな要素が重なって、弱いHが出てきてしまっていた。

無理にでもやらせようか……とも思ったが、川口先生とも話をしてその日は、そのまま見学をさせることにした。

仲間たちが、試合で練習の成果を見せる姿を、悔しそうな目で見ていました。

帰り道、途中のサービスエリアでおやつを食べている時も、仲間がはしゃぐ中、浮かない顔をして過ごしている姿を見て、なんとも言えない感情が込み上げてきました。

そして、集合場所で解散したあと、Hを自分が送っていくことになっていた。送っていく車の中、『このままではHのためにはならない』という思いから、Hには何も言わず道場に連れて行った。
そこで、

『H今日はあんまり練習できなかったやろ?相手になってやるから少しやっていくか?』

と聞いてみた。もし、ここで『いやだ!!』と言われるかもしれなかったが、どうしてもこのままにしておけなかったので、こういう行動をとってみた。

Hは戸惑いながらも、練習をするといった。

そこで打ち込み、投げ込み、そして妹に審判をさせて何試合も自分と試合を行った。面白おかしく、それでいて汗だくになりながら1時間近く練習や試合を行っていた。気づけばいつの間にかあたりは真っ暗に、練習に夢中になって時間の経つのを忘れていた。
保護者の方が心配するからと急いで練習を切り上げ道場を後にした。
Hの顔も、サービスエリアにいたときのような浮かない表情が消えとても充実した笑顔になっていた。帰りの車の中で、

『初めてのことや、慣れない環境で何か行動を起こすということはとても怖いことで逃げ出したくなってしまう。これは大人でも同じことで誰でもそのように思うものだ。でもそこから逃げ出してしまっても、後悔という思いがずっと付きまとうものだ。逃げ出したい気持ちに負けずにやりぬけば今のような爽快感を味わうことができる。だから、自分に負けないように頑張れ!!』

と伝え、Hを家へと送り届けた。その日をさかいに少しずつHは元気を取り戻していった。

その後の強化練習にも、休まずに参加してきた。居残りで打ち込みをして残っていたりもした。本当に子供というのはきっかけ一つで別人のように変化する。

Hの体調もだんだん良くなっていき、5年生が全員そろって活気のある練習が行えるようになっていき、道場全体が非常に良い雰囲気になっていった。

Hは、このように周りに影響を与える雰囲気を持っている。
後輩に厳しく接していることもあるのだが、なぜか後輩から、『H先輩、H君』と慕われていた。
学校でも、Hの意見で学級目標に『志(一生懸命頑張る子)』に多数決で決まったそうだ。

Hは年の離れた妹がいるからかとても幼児や低学年の面倒見がよい。面倒見がよいから後輩たちに厳しくしても慕われているのかもしれない。このような雰囲気を持っているHの復活により川口道場の成長はますます促された。この年は、6年生がおらず、5年生のH達が最高学年でチームをまとめる必要があった。当初は非常に心配だったが、5年生の子一人ひとりがそれぞれ特色があり、それがうまく機能していた。
だから5年生しかいないチームでも団体戦でひと学年上のチームと戦っても非常に良い試合を行うことができていた。

チームとしての成長ももちろんだが、H自身も非常にたくましく成長していった。遠征や合同練習があっても、休むことがなくなっていき、きつい練習から逃げるような性格がどんどんなくなっていって、逆に自分から強い相手苦手な相手を捕まえに行ったりと非常に積極的な練習ができるようになってきた。

そして年が明け、H達が6年生になり、Hのさまざまな成長が確認できる中、自分達が求めていた一番うれしい変化を確認できるある試合がおこなわれたのであった・・・・・

次回に続く


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