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2009年2月 9日 (月)

泣き虫Hの志ノート 涙の成長日記

平成21年最初の川口道場物語です。

川口道場で指導していてさまざまな子供たちの成長を見てきました。
その子その子で様々な壁にぶつかり、もがき苦しみながらもその壁を一つずつ乗り越えて成長していく。そんな姿を見ていく中で、ひときわ成長してくれた子がいる。

今回は、いろんな壁にぶつかっても、涙と共にその壁を一つ一つ乗り越えていったHの物語です。

それではお楽しみくださいhappy01

Hとの初めての出会いは、自分が以前指導をお手伝いしている道場で合宿をしていた時のことであった。
この合宿に、道場を始めたばかりの川口先生が道場生を何人か連れて参加していた。
練習が終わり、その夜のことをよく覚えている。

当時3年生であった、Hははじめての合宿で、ホームシックになり、
『お家に帰りたいweep
と泣き出していた。

初めての合宿で、県外の道場に泊まるということは3年生の子には少し荷が重かったのだろうか、しかしたった一日でホームシックにかかるとは・・・・・と正直驚いた覚えがある。

そんな出会いから、年が明けて次の年度になり地元である福井県に帰って来た自分は、いよいよ川口道場にて指導を開始した。
最初の練習日は、3月末の『6年生を送る会』という行事からであった。

この時、初めて練習を見させていただいたのだが、まだ始めて間もないということもあり、動きも出来上がっていない子供達が多い中、ひときわ目を引く選手がいた。
体が小さいのだが、技に入るタイミングと、全身を上手に使って相手を投げている。よくよく見てみると、去年ホームシックにかかっていたHであった。
練習中、川口先生の所に行き、『あの子良いですね。名前はなんて言うのですか?』と聞いてみたら、川口先生も『あいつ良いやろ。お前もそう思うか!!あいつはHという子なんだ。体は小さいがとても感覚が良い。』とおっしゃっていました。

練習後の懇親会の時も、そのH保護者の方に『こいつもHの動きは良いと言っていましたよ。もっと練習に来ればもっと良くなっていきますよ!!』と言っていた。
当初、Hは、週に1回しか練習に来ていなかった。

自分が指導者として川口道場に入ったということもあり、練習時間に変化をつけ週3回の2時間練習を行うようになり、それに合わせるようにしてHの練習日も増えていったのだが、そのことによって最初の壁が訪れた。

自分が最初に指導を手伝うにあたって、まず最初に子供たちの意識を変えるということを目標として取り組んだ。
自分を高めること、
強くなるためには何が必要か?ということを子供たちに意識させ、そのために必要な練習の取り組み方をどんどん教えていった。辛いこときついことから逃げ出さないことを意識させ、きつい練習で子供たちを追い込み、その気持ちが折れそうなギリギリのところで頑張ることを一番大事に励まし鼓舞して指導をしていった。

最初の練習の変化にはだいぶみんな面喰ったのだろうか、みんな涙まみれの練習となった。中には、夜にうなされたり、練習に行きたくないと駄々をこねる子もいた。

Hもまたその子供たちの中の一人だった。ある練習日、体操の途中で遅れて練習にきたHだったが、自分のところにきて、泣きながらcrying

『今日は練習をしたくないので、休ませてほしい』

と言ってきた。なぜ練習したくないのか理由を尋ねても、答えない。とにかく練習したくないということの一点張り・・・・・・

『今度、大きな大会があり、Hはそのメンバーの一人だ。お前が休んでしまっては周りのメンバーに迷惑がかかる。お前はそれでもいいのか?』

ときつい口調できいてみたが、

『それでもいいから、休ませてほしい』

と即答してきた。

『自分が楽できれば周りがどうなってもよい』といったような考えがあるということが発覚した。このままではいつまでたってもチーム力がついてこないと思った。まず、このHの意識が変わらなければ川口道場の未来はないとまで思った。

この日の練習はとりあえず何があってもやらせたいと思い。前半は見学させ、練習の内容も少し変え子供が興味を持つような練習を行い、途中からHも練習に入るように促して練習を行わせた。Hは、その日の練習を途中からではあったがしっかり行うことができた。

練習後、Hを呼んで怒りをグッと抑え、練習を途中からでもやり遂げたことを褒め、目標を持ち行動することの素晴らしさと、練習をやり遂げた後の爽快感を自分の体験談を交えて話をした。Hもやり遂げることができた充実感を感じていたからか、自分の話をしっかり聞いてくれた。

その日から、Hも少したくましくなったような気がする。それと同時に、自分ももう少し子供たちと信頼関係を密にするため行動を起こすこととした。

まず最初に行ったのは、練習後、最後の整列での礼が終ったあとにその日の練習で頑張っていた子や壁に当たって苦しんでいる子、怒られてへこんでいる子、今までできていなかったことができるようになった子などを、個別で呼んで、そのことを子供たちに伝えるようにした。どんな些細なことでも、その日気がついたことをなるべくプラスの言葉で伝えるようにした。そしてもうひとつ、試合や合同練習などのイベント事があった時にその時の感想を書かせるようにした。
その書いてきたノートに、川口道場のテーマである『志』という文字をいれ、志ノートとして子供たちみんなにもたした。
こうすることにより、なぜ厳しい練習をするのか、厳しい言葉の裏にはどのような思いがあるのかを子供たちに伝えるようにした。

このノートの効果を一番実感できたのはHだったと思う。

こうして厳しい練習でも何とかついてこれるようになってきたH。その練習の成果を実感できる試合があった。それは7月に行われた県の大会。HはBチームの一人として団体戦に出場した。

そして始まった試合で、Hとても良い内容で試合に勝利した。チームは予選で負けてしまったが、Hの試合はとても内容もよい試合を行っていた。その試合を見ていたほかのチームの先生も『あの子はとてもいい柔道をするなぁ』とお声をかけてくれた。

この試合での勝利がますますHの心を成長させた。練習も休まなくなり、最後までやりぬく練習というのができるようになってきた。
そして、この年の夏に川口道場初のビックイベント、日本武道館で行われる全国少年武道錬成大会に参加することとなった。
川口道場では初めて参加する大きなフリー参加の全国大会。柔道の聖地である日本武道館で4000人を超える子供達が熱戦を繰り広げる大会に参加することにした。

高学年と低学年の2チームで参加。Hも低学年の中堅で参加した。
緊張の中試合開始。
しかし日本武道館というとても大きな会場と全国からたくさん集まった子供たちに圧倒されてしまっているせいか、先鋒・次鋒ともに力を出し切れず、ポイントを挙げることができなかった。劣勢のままHの出番が回ってきた。本来は先鋒で先取点を取ってくるという考えがあったため非常に厳しいと思っていた。ところが中堅のHが鮮やかに勝利してきた。この勝利にチームが勢いに乗った。
大将が勝利し代表戦となり一本勝ち!!
このままの勢いで次々と全国の強豪たちを打ち破りなんとベスト8まで勝ち上がるという大健闘を見せた。

この予想を超える大健闘にHは大きく貢献した。この全国大会での経験もあり、ますます練習への取り組み方に力が入るようになっていった。

こうなってくると、徐々にやらされている練習が自分から行う練習にへと変わっていった。

練習量はますます多くなり厳しさを増していったが、子供たちの涙が消えていった。代わりに大きな声がこだまするように大変活気ある練習を出来るようになっていった。

冬のある日、Hの保護者の方の都合が悪く迎えが遅くなるとのことで、自分家への帰り道の途中にHの家があることもあり送ってあげることになった。
その車の中で、Hに
『どうだ柔道は楽しいか?今と昔とどちらのほうが柔道楽しい?』

と聞いてみた。するとHは即答で

『今のほうが楽しいです。』

と答えてくれた。昔より練習量も増え、練習の中身も激しさを増しているのに、今の練習のほうが楽しいと言ってくれたことに対して非常に喜びを感じた。
自分たちの目指してきたことやってきたことが報われた瞬間でもあった。

しかし、Hにはまだ越えなくてはならない壁が待っているのであった・・・・・・・

続く

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コメント

いつも勉強させて頂いてます!
H君素晴らしい成長を見せてくれましたね!赤ペン先生や川口先生の導き方も素晴らしかったのでしょう!これからの活躍が楽しみですね!

投稿: 柔道家3号 | 2009年2月10日 (火) 11時11分

柔道家3号先生コメントありがとうございます。
最初にHにあった時に比べて飛躍的な成長をしてくれました。
しかし、Hにはまだまだ大きな壁が訪れるのです。

はたしてHはそのかべをのりきることができるのか・・・・・

次回の川口道場物語、乞うご期待ですsign03

投稿: 赤ペン先生 | 2009年2月10日 (火) 17時40分

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