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2008年2月13日 (水)

信念

先日行われた、第1回福井県学年別少年柔道大会を振り返ってみて、結果からいくと準優勝者1名、3位入賞者3名という結果であった。

毎回、試合が終るたび『本当にこのままでよいのか?』と反省する。
試合の内容を見て勝敗を分析してみると、勝つときは、川口道場は一番多い確立で『寝技』で勝ち星をあげている。しっかり練習している通り、技を使って抑えることが出来ている。しかし、ある程度上位に来ると寝技が通用しなくなり、結果負けているようだ。
立ち技のほうは、今取り組んでいる練習の成果が徐々に出てきているのか自分が予想を上回り今まで負けていた子に勝つことの出来る子も出てきているが、立ち技で負ける子は、だいたい『一本背負い』、『袖釣り込み腰』、『払い巻き込み』、『谷落とし』、『足取り小内』などが多く普段川口道場で封印している技で敗れるケースが多い。
この結果を受けて、『練習していないことだから仕方のない負け・・・』と片付けることがどうしても出来ない。

最近の少年柔道全体の流れを見ていてもなんとなくであるが、国際ルールを意識しているからか、レスリングスタイルのJudoを行う少年少女が増えてきているように感じる。
腰を極端に引き、基本どおりの組み方をせず両袖を持ったり、背中をわきの下から持ったり(少年規定では奥襟は1~2秒だが脇の下から背中を持つことは6秒ほど許される)
(訂正 脇の下から背中を持つことは中学生以上のルールで小学生は奥襟と一緒で1~2秒)片膝をついて低い背負いをかけたり、谷落としや小内からの足取りをしたり、組際に奥襟を叩いて技を掛けそのまま巻き込んだりなどの技術がはやっているように感じる。そしてそれにより勝負に勝つことがほとんどである。

このことから考えて、自分達が教えていることは今の流行の柔道から逆行している行為なのかもしれない。
川口道場では、しっかり組んで、奥襟を持たず、膝をつかさず、巻き込ませず・・・姿勢のよい柔道をし、どんなに大きい相手、強い相手であっても自分のスタイルに自信を持って柔道を行なう気持ちの強い選手を育てる事を目標とし子供達に柔道を教えている。

しかし、今の少年柔道全体の流れから言えばとても古臭く、遅れている柔道なのかもしれない。
ある指導者の先生は、昔は姿勢の良い柔道を教えていて、組み合わない柔道を否定しておられたが、今では自信を持って流行のスタイルを教えている。
たしかに、『奥を持ったらダメ、膝を付いたらダメ』などといって柔道を行なわさせたら、その事ばかり気にして、思いっきりの良い柔道が出来なくなってしまう子がいる。結局足かせのようになってしまいその子の才能をつぶしている可能性だってある。

『本当に今教えていることで正しいのか・・・?』

大会が終わるたび、自問自答している。そのたびに帰りの車の中で川口 稔先生に自分の思いのたけを打ち明けさせてもらっている。
その度に、『目の前の勝ち負けにとらわれることなく、今教えるべきことを教えれば良い。』と教えてくれる。
今回の結果を受けて、今はやりの柔道に対して何とかしなくてはならないという気持ちになっていた。
自分も組み合わない柔道を教えるつもりはないがそれに対応することは必要だと考えていたが、それは自分の形が出来てきて初めて取り掛かる事の出来ることだった。
『自分の形も出来ていないのに対応をしようとすることが、自分の柔道を崩すことになりかねない。だから今すべきこと、自分の柔道を自信を持って貫くことを今やらなくてはならないのだ。』
と川口先生は教えてくれた。


子供達は試合をする以上どうしても勝ちたいと思う。自分も普段一生懸命練習している子供たちを勝たせてあげたいと思う。
しかし、成長期を迎えていない子供達に勝つことを優先させてしっかり姿勢の良い柔道を行なわせず、負けないテクニックを教えて、自分よりも体の大きい子に負けないように指導する。組み合うこともせず、片手でも持ったら返されないように捨て身で技を掛け、掛け数で判定勝ちを狙う。体の小さな子が大きい子に真っ向から組み合うことは、無謀なことかもしれない。しかし、今現時点で真っ向に勝負することをあきらめて判定で勝ちを覚えた子がこれから先、成長期を迎えた時、しっかり組み合って真っ向から勝負する柔道を果たして出来るのだろうか。
どんな子供でも、強くなる可能性はこれから先いくらでもある。それを今の勝ち負けだけにとらわれた柔道をして、可能性をつぶしたくない。
自分達が理想としている柔道。現時点では理想と現実の差はまだまだある。
もしかすると子供達に自分達の理想を押し付けているだけなのかもしれない。
しかし自分達が『心から良いと思える理想の柔道』でなければ、子供達に自信を持って指導は出来ないと思う。

『心から良いと思える理想の柔道』

自分は試合が終り自分の指導に迷い悩む度に、この川口先生の揺るぎない信念のある理想に毎回救われています。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

先日はお世話になりました。
本日の志ノート、感動しました。
鳳雛塾が白根市柔道連盟としてスタートして数年間そのスタンスでやり続け、ようやく全国のキップを手にして、翌年に全国3位という成績を修める事ができました。しかし、そこから選手の心だけでなく私の心にも、「勝ちたい=負けたくない」という心が芽生え目指すべき柔道が変化してしまいました。

もちろん今も勝つ事は目標のひとつですが、変わってしまった柔道を立て直す方向に起動修正をかけています。
しかしまだまだ・・・
その起動修正の難しさを痛感しています。
特に今年中3のM(女子)とS(男子)が5年生のころ、6年生に強烈なポイントゲッターがいたことで小柄な二人には「負けない柔道」を目標とさせてしまった結果、柔道が崩れ、そのうえ故障も増やしてしまい・・・その修正に3年間かかりました。
幸い昨年夏に二人そろって全中に出場してくれましたが、本当にこの二人には苦労させる結果となりました。
そう考えると、川口先生の信念の答えは3年後~5年後に生きてくると思います。
鳳雛塾も勝つ事以上に魅力ある柔道ができるようにしてゆきたいと思います。(でも、センスもなく、しぶとさだけが持ち味のHはどうしよう・・・?)

投稿: 鳳雛塾・星野 | 2008年2月13日 (水) 09時10分

赤ペン先生の【信念】は最近の記事の中では長いほうですが、ホントはきっと原稿用紙に100枚以上必要だったと思います。

【理想】を追いかけるのは非常に難しいことだと思います。相手のいることですし、試合にも出場しますし。理想と現実の狭間で指導者も、そして何より選手自身もいろんな葛藤の中で練習に取り組んでいると思います。
しかし、川口先生同様、【信念】をもって【理想】を目指していきたいと今日のブログを読んで思いました。

共に切磋琢磨してレベルアップしましょう。わが団も負けずに頑張ります。


投稿: クリリン会長 | 2008年2月13日 (水) 10時03分

星野先生・クリリン会長コメントありがとうございます。

星野先生こちらこそ先日は貴重なお話を聞かせて頂きありがとうございました。
そして今回もコメントに貴重な体験談をお書きくださり本当にありがとうございます。まだ川口道場は4年目に突入したばかりの歴史も伝統もあまりない道場で、まだ本当の意味での指導の分かれ道のところまで来ていない道場ですが、先生がお書きくださった指導の体験談を胸に、今あるこの【理想】だけは、汚さずに掲げていたいと思います。それと、H君は、先日もお話しましたが自分の指導の目標でもあります。H君の体育の成績を聞いてビックリしましたが、それを聞いて尚更H君をすごいと思いました。出来ない事があるのに努力することが出来る、これは立派な才能だと思います。自分達もH君のように、出来ない事があっても努力できる選手を育てていきたいと思います。

クリリン会長いつもお世話になっております。【理想】を追いかける事は、自分としても誇りに思うことなのですが、反面試合に勝てなくて涙を流す子供たちに対して申し訳なく思うときもあります。しかし、今の子供達は皆こんな指導者の言う事を信じ、頑張ってくれています。これは丸岡町柔道スポーツ少年団の子供達も一緒なのではないかと思っております。これからもお互い切磋琢磨し頑張りましょう。(早速来週練習お邪魔させていただきます)
後、チラッとお聞きしましたが、H之君の体調が全快する事を心よりお祈りしております。

投稿: 赤ペン先生 | 2008年2月13日 (水) 11時14分

こんにちは。赤ペン先生のこのお話、とても勉強になりました。柔道のルールそのものに?と思うことはたくさんあります。奥襟は、2秒なら良くて3秒が駄目な意味が未だに分かりません。片襟も駄目なら駄目!とはっきりすれば良いのですが!曖昧なまま・・・。それはそれとして、このお話の保護者としての意見を一つ・・・。
子供達は、一生懸命ですよね。こうした反則ギリギリの技術も、捨て身技も、姿勢も、柔道のスタイルも、子供達が子供達の意志で最初からそうするわけではないと思います。みんな先生方の教えを守り、理解し、勝ちたい一心で頑張っているのだろうと思います。ですから、もし自分の息子達がこのような教えを受けてその教え通りに、俗に言われる「セコイ」柔道をやっていたとしても、それを「セコイ」とは言えません。スポーツとしてルールがある以上、そのルールの範囲内で勝つために最善の努力をすることは決して悪いことではないと思うからです。でも、私が子供に習わせたいのは「スポーツ」ではなく「武道」です。武道の精神が、子供の将来に大きく役立つと信じているからです。ですから、赤ペン先生や丸岡スポ少の先生方の信念や理想を素晴らしいと感じますし、子供達にもその理想を「押し付けて」ほしいと思っています。子供は純粋です。勝ちたい気持ちはみな強いですが、それ以上に先生方に言われたことを強く信じているはずです。だから、教室ごとに先生方のカラーの出る柔道が見れるのだと思います。
ただ、忘れてはならないのは、子供達の頑張っている姿、一生懸命な表情は、大会に来ていた全ての子供達に共通のものだということです。だからこそ、胸を張って誇れる柔道をして欲しいし、大人になっても柔道が好きでいられる、そんなご指導をお願いしたいと期待をしております!!

投稿: 柔道3兄妹の父、裕 | 2008年2月13日 (水) 16時49分

裕さんコメントありがとうございます。
確かに色々な柔道のスタイルがあり、どのスタイルであっても勝つためには一生懸命努力しなくてはなりません。自分達は自分達のスタイルで子供達に色々なことを伝えていけたら良いと考えています。柔道を通して様々な成長をしてくれることを心から願っています。

投稿: 赤ペン先生 | 2008年2月13日 (水) 23時55分

私見ですが・・・

基本方針として赤ペン先生に一票です。
まだ精神的且つ肉体的熟成が進んでいない小学生の段階で、勝つことのみに捉われることは選手の器を小さくしてしまうのではと考えます。

勝負に勝つことは、格闘技を続けていく上で大切なモチベーションの糧となる重要な要素であると私も考えます。
しかし、勝つことのみに柔道の楽しさを見出すのではなく、修練した技術がせめぎ合いの刹那に出せた喜びや、習得した技術が一つ二つと増えていく満足感、一つ一つの技が熟練していく達成感を、もっともっと大切にして欲しいと思うのです。

柔道を続けていけば必ず勝負の壁にぶつかります。
自我による壁越えの意識が無ければ挫折は必至です。
やれと言われてやっただけのモノは身につかないと思うのです。
壁越え、つまり継続することは、自意識により成されるべきと考えます。
その為には基本をしっかり身につけさせ、その基本を元にアレンジができるような方向性を示してやりたいと考えるわけです。
「言うは易し、行うは難し」ですが、その意識を以て指導にあたられれば、いずれ結果が出ると確信しています。

今は種まきの段階なのではないでしょうか。
現在の教え子達が自分の柔道を見つけ出す時は、もう少し先なのかも知れません。

斯く言う私も、小学生どころか中学生の指導をしていてすら、基本のなってない柔道(柔道と言えるのか?というレベル)の問題に直面し悩む日々です(苦笑
教え子たちとともに指導者も日々成長せねばと思います。

投稿: セニョ~ル | 2008年2月14日 (木) 00時06分

はじめまして、私も川口道場さんそして、丸岡の先生方の方針に大賛成です。勝つことの喜びより負けることの悔しい気持ちの方が子供達には大切且つ必要なのではないでしょうか?
目標に向かって努力すること又、勝負以外に子供達は、柔道を通して学ぶことが沢山あると思います。
裕さんが、おっしゃる通り武道という素晴らしい教育を子供達に教えて下さい。正々堂々と相手に向かって行く精神、「しっかり掴んでしっかり投げる」の考え、勝つのではなく負けないんだという気持ちを子供に持ってもらいたいと思います。赤ペン先生、貫いて下さい!きっと何年か後には、福井市の同じ考えの子供達そして、父兄で川口道場さんや丸岡があふれかえることを信じて、私も先生方を信じています。
試合での結果より、毎日の練習そして努力することの大切さを学んで欲しいと思います。

投稿: 丸岡の父兄 | 2008年2月14日 (木) 06時24分

セニョ~ルさん、丸岡の父兄さんコメントありがとうございます。
セニョ~ルさんの指導論心に響きました。『自我による壁越えの意識が無ければ挫折は必至』
このことは自分も常々考えている事で、勝つための技術をあれこれ叩き込むということは、その時は子供は試合に勝てるようになるかもしれませんが、指導者の手を離れた時、自分で壁を乗り切ることが出来ないのでは?と考えています。だから、基本を大事にし子供達の心を育てて生きたいと思っています。そのためには、『指導者も日々成長』しなくてはなりませんね!!このありがたいお言葉を肝に銘じて頑張っていきたいです。

丸岡の父兄さんは初のコメントですね!!ありがとうございます。このように、我々指導者の信念を理解して頂けて本当にありがたいです。なかなか勝利に結びつかないと、『ただの負け惜しみ』として保護者の皆様には理解していただけないのではないか?と不安ですが、このようにしっかり理解していただけていると心から救われます。これからも、理想を胸にたくさんの子供達の心を育てていきたいと思います。

投稿: 赤ペン先生 | 2008年2月14日 (木) 08時16分

丸岡に素晴らしい方針の道場や指導者の方々がいらっしゃることを誇りに思い又、感謝致します。正直、柔道未経験の私にとって子供が柔道をはじめたいと言い出した時格闘技であるという先入観が強く余り感心しませんでした。しかし、柔道って体だけではなく心も鍛えられるということをはじめて知りました。
また、親の私も柔道を通して学ぶことが沢山ありとても勉強になります。そして理想ではなくこれが本来の考えであると信じて、親と指導者の方々が協力しながら丸岡の柔道を盛んにできたらなぁーと思います。

投稿: 丸岡の父兄 | 2008年2月14日 (木) 12時07分

はじめてコメントさせていただきます。
今回赤ペン先生の「信念」を読ませていただいて、心から感動しました。
我が家の息子も柔道をやっていますが、大会(それがたとえ練習試合だとしても)があるたびに熱く勝ち負けにこだわってしまった私であります。柔道家の主人は全く勝ち負けには気にしません。負けたとしても試合の内容を誉めたり注意をするだけです。
主人はいつも勝負に拘る私に忠告していました。「長い目でみてやれ。今は勝ち負けより、基本の柔道を身体に覚えさせるべきなのだ」と・・。
それでもその真意に疑問を感じていた私ですが、先生の言葉が素直に身体に染みてきました。主人の言っていた事もサーッと理解できたのです。
先生ありがとうございます。
北陸から強く良い選手が羽ばたく事を願っています。

別件ですが、試合に負けても審判や相手にきちんと礼を尽くす選手はとても気持ちが良いですね。川口道場は「礼儀」に対してもきちんとされていて素晴らしいと感じています。

投稿: 福井市の父兄 | 2008年2月14日 (木) 14時23分

福井市の父兄さん初コメントありがとうございます。
やはり自分の子には勝ってもらいたいと思います。自分の子が勝つということは本当に親として誇らしいことだと思いますが、その気持を抑えて。「長い目でみてやれ。今は勝ち負けより、基本の柔道を身体に覚えさせるべきなのだ」と言えるご主人は本当にすごいと思います。その考えの中、育つお子さんもきっと力を付けていき北陸の地を代表する選手に成長するかもしれませんね!!
そして、川口道場は「礼儀」に対してもきちんとされていて素晴らしいとのお言葉、心よりうれしく思います。柔道を通して、人間的にも立派に成長する事を目標としていますので、このように言ってもらえることは本当に励みになります。これからも子供達の成長を手助けできるよう頑張っていきたいと思います。

投稿: 赤ペン先生 | 2008年2月14日 (木) 18時15分

僕のような者が偉そうなことを言って申し訳ありませんが、みなさん一緒に頑張って「柔道」を子供達に伝えていきましょう。(赤ペン先生、僕は筆ベタなので言いたいことを上手く文章に出来ません。ごめんなさい。(>_<)ゞ)

投稿: HA◯E監督 | 2008年2月14日 (木) 22時30分

HA○E監督さんいつもコメントありがとうございます。
確かにこの一言ですね。自分達が愛した『柔道』をありのまま子供達に伝えて行きたいと思います。一緒に頑張りましょう!!

投稿: 赤ペン先生 | 2008年2月14日 (木) 23時56分

柔道は試合に勝つのも大切ですが礼儀や忍耐など武道にたいする姿勢が一番だと思います。試合に負けて悔しい思いをして勝ちたい、強くなりたい、どうすれば勝てる自分で考える、先輩や指導者に聞いて努力することができるように指導できる先生がいればいいと思います。生意気なことコメントしてすいません!

投稿: 坂本 | 2016年10月21日 (金) 19時26分

坂本様コメントありがとうございます。
試合の勝ち負けだけでない、武道に対する姿勢・・・とても共感できます。強くなりたい、どうすれば強くなれると考える、このことを実践していける子は、どの世界に行っても成長できると思います。そういう選手を育成していけるよう頑張りたいです。素晴らしいコメントありがとうございました。

投稿: 赤ペン | 2016年11月 1日 (火) 03時23分

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